前提として
サーマルカメラ(赤外線サーモグラフィ)による体温計測は、体の表面温度を測定する仕組みになっています。
体温は病気に罹った際などに上昇し外気温の影響はあまり受けませんが、体表面温度は外気温に影響され、約15℃を下回ると体温と体表温度の差が大きくなることがわかっています。そのためサーマルカメラの計測値と実際の体温が異なる場合があります。
AI検温パスポートに使用しているHikvision社製のサーマルカメラは体温の計測精度は±0.5℃(メーカー調べ)ですが、外気温によって検温者の体表温度が下がっている場合、実際の体温と差が生じる場合があります。
外気温などの環境要因、個人差によって体表温度はばらつきがでる場合もあります。ご利用いただく際には、測定する環境や条件を考慮に入れた閾値設定をするなどの対応をお願い致します。
ここでは例として二つの対処方法を提示いたします。
方法1.設置場所・導線の工夫
体表温度は外気温が高くなることにより、徐々に体温に近づいていきます。冬に屋外から建物に入ってきた人物を計測する場合、5分以上時間を置いてから体温計測をするような導線確保が有効です。
建物内で距離を取りながら整列してもらうことや、屋内の十分距離を取れる待合室で待機してもらうことも対処法として考えられます。
方法2.閾値の変更
上記を行っても計測結果が低い場合・施設の構成上十分な導線が確保できない場合は正常と判断する温度範囲を変更する必要があります。サーマルパッドから設定変更できます。
- サーマルパッドの管理者画面ー左下の「温度設定」のアイコンをタップします。
- 「体温アラームの最高値」をタップします。サーマルパッドの設置される場所の外気温を考慮した体温に変更します
- 右上のチェックボタンを押して保存します。
以上の操作方法はお渡し済みの「お客様利用マニュアル」にも説明があります。併せてご利用ください。
参考:NEC技報 インフルエンザ拡大防止の観点から赤外線サーモグラフィによる体表温度計測事例の紹介 090319.pdf (nec.com)